マイク・ドンカーズ(市民ジャーナリスト)
By Mike Donkers
食べるべきもの、食べてはいけないものの基本的な識別方法を書いてほしいと頼まれることが多い。いろんな情報が出回っているが、断片的な情報で、内容が矛盾していることさえある。食べるべきでない物(毒)と食べるべき物(薬)について、私なりの考えを述べることにしたい。私が根拠にしているのは、常 識だけだ。では始めよう。
砂糖(糖)
あらゆる砂糖は避けるべきだ。砂糖の代わりになる甘味料、例えば、生の甘藷糖(サトウキビ糖)、グルコース、デキストロース(D型グルコース)、糖蜜(モラス)、キャラメル、果糖(フルクトース)、コーンシロップ、デート(ナツメヤシ)シロップ、米シロップ、小麦シロップなども避けるべきだ。砂糖を摂ると血糖が上昇する。そしてその血糖を元に下げるため、膵臓がインスリンという名前のホルモンを生成する。インスリンが生成され過ぎると病気になり、身体はインスリンへの抵抗力(インスリン耐性)を備えるようになる。こうして毎日、身体の中にパニック状態を起こしているわけだが、ある程度バランスが維持 されるため、こんな体内戦争が発生しているとは、なかなか気付かないものだ。
中年になって身体が疲弊して初めて、このバランス機能が阻害されていることに気付くことになる。そして、カンジタ、低血糖、血行不良、過度の口渇、過度の空腹感、多尿、便秘、鼓腸(ガスがたまる)、アレルギー、皮膚の問題、高血圧、心拍異常、悪玉コレステロール、肥満など、さまざまな糖尿病予備軍の症状が出現してくるだろう。それでも多くの人は、こうした症状と食べ物が関係あるとは思わず、医者に行って治療を受ける。だが、副作用で新たな問題が生じ るか、症状を悪化させるだけになる。
糖の摂り過ぎはグルコースとインスリンの値を上げる。さらに悪いことに、インスリン耐性は、インスリンの効果を次第に弱くするという悪循環を生じさせる。あまり膵臓を酷使してインスリンを長く多く生成させると、最後には消耗して作動しなくなる。そうなると血液にインスリンを注入しなければならなくな る。これが「糖尿病」である。砂糖は、あなたが想像している以上に病気の原因になる。ウィルス、酵母菌(イースト)、癌細胞の大好物・エサが砂糖だ。
砂糖業界が「砂糖は筋肉に良い」という神話を宣伝しているのをよく見かける。これは半分真実の巧妙な表現だ。どんな食品も、身体にとっては異物に違いない。食品をエネルギーとして利用するには、身体が食べ物をグルコースに変換する必要がある。グルコースは、筋肉の発達には不可欠だ。だから「砂糖は良いですよ」と製糖会社は言っている。だが製糖会社は、体内で生成される「間接吸収の糖」(血流にゆっくりと放たれる)と、極めて有害な体外の「高速吸収の糖」(ダイレクトに血糖を上昇させる。実は、筋肉を攻撃する)の違いを区別していない。もちろん我々の身体に糖は必要であるが、あくまでホールフード〔自 然のまま丸ごと食べること〕を前提にして、体内で生成される糖のことである。
砂糖の代用品を好む人たちの中には、生の甘藷糖や糖蜜(モラス)がミネラルを含んでいて健康に良いという通説が根強くある。完全に間違っているわけではないが、生の甘藷糖や糖蜜が血糖におよぼす悪影響は、好影響よりも遥かに大きい。健康食品店で買い物したり働いている人に、太り過ぎの人がどれぐらいいるか見てみるとよい。健康的に見えますか?そうした人たちも、彼らなりの砂糖中毒の犠牲者になっており、そのために、店で売っている食品のせっかくの良 い効果が大部分打ち消されてしまっている。
パン、パスタ、ポテト、米
砂糖(糖)とは、コーヒーや紅茶に入れる白いものだけではない。あらゆる「精製」食品に含まれている。白いパン、白いパスタ、白い小麦粉、白い米。手短に言うと、糠(ぬか)が除去された穀物は全部だ。もはや糠に含まれる繊維はなく、残った澱粉(でんぷん)の吸収速度を落とすものはない。澱粉は、高速 吸収の糖となって、血糖を上げ、インスリン反応を起こす。
代わりのものとして良いのは、全粒(未精白)の穀物で、例えば、ブラウンブレッド(黒パン)、ブラウンパスタ、ブラウンフラワー(全粒小麦粉)、玄 米だ。特にサワードウ(sourdough)パンを食べると良い。パンに含まれる乳酸菌が自然に発酵し、澱粉内の糖分を食べてくれている。自然に発酵した食品は、どれも良い。生ヨーグルト、ザウアークラウト〔塩漬け発酵キャベツ、ソーセージの付け合せでよくあるやつ〕、天然酢などだ。
全粒だからといって、自分の身体にパンを詰め込み続けてよいという意味ではない!われわれ人間は、たくさんの糖を摂取するような身体の構造になって いない。低脂肪の食事を心がけている人は、パンやパスタなど澱粉系の食品で炭水化物(糖質)をたくさん食べている。それが、たとえ全粒粉やサワードウであっても、体重は増加する。パンは1日にスライス2枚以下にして、パスタ、米、ポテトは、週に2回までにしよう。一番良いのは発芽した穀物のパンで、健康 食品店で入手できるだろう。
カフェインとアルコール
カフェインとアルコールも、糖の仲間であり、やはり血糖を上げる性質がある。健康に心がけるなら、1日にブラックコーヒーは2杯までにした方が良い。低温殺菌処理されていない生の牛乳であれば、コーヒーに加えてもよいが、砂糖はダメだ。生乳の糖分は吸収速度が遅いが、低温殺菌された牛乳の糖分(β グルコースと言われる)は吸収速度が速い。いわゆる牛乳アレルギー(乳糖不耐症)は、実際には低温殺菌に対するアレルギーもしくは不耐症だ。
緑茶にもカフェインが入っているが、これはゆっくりと血液に放たれるため、カフェインの良い面だけを摂り込み、悪い面は除外してくれる。緑茶の場合、カフェインは悪さをしない。良い意味で免疫システムを刺激し、心臓にも良いことが分かっている。だが、コーヒーのカフェインは、血液に放たれるスピードという意味で、吸収速度の速い糖分(ファースト・シュガー)と見なすべきだ。まさにこの性質のために、朝一番でコーヒーを飲むと、脳を叩き起こすことができるのだ。だが、緑茶を飲む方が良い。効果を感じるまでに少し時間がかかるかもしれないが、緑茶であれば一日中飲み続けても問題ない。コーヒーで同じこ とをすれば、寒気がするだろう。
アルコールも、カフェインと同じような働きがある。残念ながら、血液にゆっくりとアルコールを放つアルコール製品は存在しない。アルコールは、血糖に直接影響を与えるので、やはりファースト・シュガーと見なすべきだ。もしアルコールを飲む人であれば、グラス2杯で止めておくべきだ。少量であれば、カフェインと同等に、免疫システムに良い効果を及ぼす。だが、限度を超えると、毒に変身する。血糖が突然上昇し、我慢できないほど空腹感に襲われる。身体がサバイバル・モードに入り、エネルギーを再充填するために食べ物を欲しがるのだ。アルコールが影響を与えている状態で欲しくなる食べ物は、概して良くない 食べ物ばかりである。
果物(フルーツ)ジュース
フルーツ・ジュースは、健康に良いものとされ、糖類だとは思われていない。だが、フルクトース(果糖)も、糖だ。穀物と同じことで、糖分そのものが悪いわけではなく、果物を「精製」するところに問題がある。商品化されたフルーツ・ジュースは、ホール(丸ごとの)フルーツではなく、皮や果肉が剥ぎ取られたフルーツで出来ている。皮や果肉は、繊維なので、糖を血流にゆっくり放出する働きをしてくれる。一番のお勧めは、そこそこのブレンダー(ミキサー)を 買い、種、果肉、皮もそのまま(全部でなくとも一部でも)で、自分で新鮮なフルーツ・ジュースを作ることだ。
言うまでもないが、甘いフルーツには、苦いフルーツや酸っぱいフルーツよりも、糖分が多い。レモン、ライム、グレープフルーツ、ザクロ、ベリー、酸っぱいリンゴは良い。甘いフルーツで健康に良いものは、上記以外の柑橘類、サクランボ、パパイヤ、ココナツ、パイナップルなどがある。
蜂蜜、リュウゼツラン(アガービ)蜜、メープルシロップ(砂糖楓の蜜)
この三つは、ファースト・シュガーであるが、極めて身体に良い物質(大量のビタミンCなど)を含んでいる。ほどほどに摂取すると、悪いものではない。自然が甘く味付けしてくれているので、食べ過ぎることはないはずだ。
人工甘味料
化学甘味料は、何がなんでも避けること!癌になる。肝臓と神経システムをやられる。身体からなかなか抜けない。脳の裏側に住みつき、言葉通りに侵食 する。砂糖と同じで、ゆっくりと累積的に身体にダメージを与える。もし敢えて砂糖か人工甘味料かという究極の選択をするなら、私は迷うことなく砂糖を選 ぶ。食品を買うときに、アスパルテーム(aspartame)、スクラロース(sucralose)、サッカリン(saccharine)、チクロ(cyclamate)、アセスルファム・ケイ(acesulfame-k)、その他の甘味料が入っていないことを確認すべきだ。「ライト」とか「ダイエット」などと商品名に入ったものには、たいてい入っている。無糖のチューイングガムには、アスパルテームか何らかの甘味料が入っているだろう。
〔訳註〕アスパルテームは商品名「パルスイート」や、さまざまな「ゼロ」飲料など、低カロリー、ゼロカロリーを宣伝文句に販売されている。スーパー、コンビニなどで成分表示を見てほしい。これを開発したG.D.サール社のCEOは、タミフルで儲けたラムズフェルド元国防 長官である。同社は遺伝子組み換え特許独占で有名なモンサントの子会社である。人体に有害というよりも、有害だから普及させていると考えるべきだろう。
飽和脂肪
人類は、何千何万年もの長い間、飽和脂肪を利用してきた。1950年代前半より、脂肪は健康に良くないと言われるようになった。その科学的根拠は、 アンセル・キーズ(AncelKeys)が実施した、たった一つの研究に由来している。キーズは、「飽和脂肪は健康に悪い」という先に決まっていた結論を証明するために、六カ国で収集 したデータを恣意的に利用した。
その後、この飽和脂肪の神話は、西洋の食品産業と政府に受け継がれ、多くの研究結果が正反対の効果を示しているにもかかわらず、今日でも尚、しつこく固執されている。医者や栄養士は、何世代にもわたり、この神話を教え込まれ、真実を知らないまま、人々に伝道している。産業全体が、飽和脂肪を避けることに立脚している。実におかしなことに、1950年代以降、我々が食べている低脂肪食品と、1950年代以降、発生した多くの健康問題の関係に誰も注目し ていないようだ。
どんな食べ物に、飽和脂肪が含まれているのだろうか?あらゆる動物製品。肉や酪農製品である。ココナツやヤシ油(パーム油)のように植物性の飽和脂肪もある。もう一度言うが、人類は、永劫の歳月、飽和脂肪を食べてきた。実際に、脂溶性のビタミン(ビタミンA、D、E、K、B12)は、飽和脂肪の形態が最も身体に吸収されやすい。飽和脂肪は身体に不可欠であり、もし食べなければ身体は悲鳴をあげて欲しがる。どうして太りすぎの人が多いのか?穀物の食べすぎで炭水化物の形で糖分を摂るから、太っているのだ。われわれの身体は、そうした乾燥食品(ドライ・フッド)から自前で飽和脂肪を作り出し、脂肪として 貯蔵する知恵を持っているのを知ってました?身体を騙すことはできない! パンで出っ張った腹が証明しているでしょう。
何の心配もせず飽和脂肪を摂取して大丈夫だ。ホール(丸ごと)状態の飽和脂肪、低温殺菌されてない酪農製品を食べれば、体重は減るだろう。身体は、 飽和脂肪を即座にエネルギーに変換し、脂肪として蓄積することはない。こうした脂肪類は、熱い料理でも冷たい料理でも食べられる。飽和脂肪の良いところは、高温に耐えられることで、フライ料理の対象にもなる。タンパク質(プロテイン)の摂取源としても優れており、栄養的にタンパク質を補うこともできる。
矛盾しているように思えるだろうか?バターで焼いた卵とか、ぶ厚い生乳チーズのサンドイッチ、あるいは、高脂肪のヨーグルトの大盛りが、実は、体重 の減少につながる。何世代にもわたって洗脳されてきた人々に言ってみるとよい。バターでは太らない。水素添加された、不飽和のマーガリンこそが太るのだ と。だが、こうしたダイエットが成功しない理由を自問してみるべきだろう。低脂肪食はあなたを太らせる。だから、発癌性アスパルテーム搭載の「ダイエッ ト」食品ばかり勧める低脂肪教信者に騙されないように。カロリー計算や、食品表示のカロリー情報を見るのは、時間の無駄だ。それよりも、砂糖、塩、香辛 料、人工着色料、甘味料、GMO(遺伝子組み換え)、その他ゴミのような化学物質が入っていないか、成分表示をチェックすべきだ。
コレステロール
高コレステロールは、まったく恐れる必要はない。日本では、高コレステロールは、健康の証になっている。〔訳註:本当?〕日本人がどれだけ健康か知ってるかい?日本の本ではコレステロールが良いと書いてあるのに、どうしてアメリカでは違うのか?またしても、1950年代前半のアンセル・キーズの不公正な研究に立ち帰らなければならない。われわれは、コレステロール値を測定すること、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)に区 別することを学んできた。そして、またしても、産業全体が、食品産業だけでなく医薬品産業もが、この論理を基盤に成り立っており、極めて危険なスタチン (コレステロールを下げる薬)が悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすといっている。
ばかばかしい!時代遅れの恣意的な研究に基づいた神話がもう一つある。コレステロールに、善玉も悪玉もない。コレステロールは一種類であり、それがコレステロールのすべてだ。本当に科学的な視点で考えると、コレステロールを善玉・悪玉に分けるのは何か?それは食習慣だ。悪い食習慣(糖分)が、血液をネバネバ・ベタベタにする。コレステロールは血液の一部であり、血液が血管の壁に粘り付き始めると、血中のコレステロールも粘りつ付くようになる。(どうして「LDL血液」と「HDL血液」と言わないのだろう?)血管の壁にへばりつくコレステロールは、LDLと呼ばれ、それ故に悪玉とされる。血管を順調に流れるコレステロールは、善玉・HDLとされる。コレステロールと血液がネバネバしてくると、医者には「高LDL」と診断されるだろう。最後には血管が詰 まり、バイパス手術が必要になる。
この誤ったLDL・HDL診断は、血中コレステロールばかり見て、スタチンという「解決策」を提供する医者のために発生する。コレステロールには一種類しかないわけだから、薬を投与すれば、LDLだけではなく、全部のコレステロールを低下させてしまう。これは極めて危険だ。副作用として、筋肉の痙攣 や血流障害などのリウマチの病状がでる。コレステロールは、電気掃除機のような働きをするのだから、当然の帰結である。まさに、血液を掃除してくれるのだ。身体が日光を合成してビタミンDを生成するのにコレステロールが必要なことは知ってましたか?どうりで日本人は、高コレステロールが良いと考えている はずだ。
薬を使ってコレステロールを下げれば、血液はますます汚れていき、血流はますます滞っていく。心臓の危険を思えば、筋肉や先端部(腕、脚、手、足、頭)の激痛といった副作用さえ影が薄くなるというものだ。銀杏(イチョウ)、サンサジ(hawthorn)、緑茶、松エキス、粉末唐辛子、生姜、ニンニクなどの、薬草(ハーブ療法、漢方薬)は、血流を促進し、副作用もない。にもかかわらず、しばしばナンセンスだと無視され、禁忌(医薬品と一緒に使えない) だとされる。私は何を選択すべきか知っている。
不飽和脂肪
1950年代以降、食品業界と政府によって、健康のためには、植物性の不飽和脂肪が答であるとされてきた。ではどうして逆に健康問題が増加したのだ?まず最初に、バターのような飽和脂肪よりも、不飽和の植物脂肪を活用することの金銭的な利益を調べてみよう。たとえばクッキーだ。バターは牛から作る が、牛を育てるには金がかかる。ヒマワリやトウモロコシの畑にすれば、もっと安くできるし、油を絞ることもできる。バターは、賞味期限も短い。だから、クッキーは、バターで作るのをやめたのだ。「植物性脂肪」という曖昧な食品表示を見ることが多いと思うが、これは最も安く入手できる不飽和脂肪を選んでま すよという意味だ。
ということで、不飽和の植物性脂肪を利用する商業的な動機は確認できた。もしそれでも健康に良いならば、何の問題もない。だが、そうでないので問題なのだ。マーガリンというのは、本来、屠殺用の家畜を太らせるための二級のバターだったというのは、知ってましたか?マーガリンは、灰色がかった色をしていて、バターのように見せるためには着色する必要がある。実際、プラスチックとマーガリンは、分子一つの差しかない。強い力をもった食品産業が、金儲けの ためにこんなものを売っているだけだ。彼らにとっては、あなたの健康はどうでもよいし、政府もあなたを守ってはくれない。
「単不飽和」と「多価不飽和」の植物脂肪の違いについて、いくらか誤解があるようだ。単不飽和脂肪の例としては、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油がある。多価不飽和脂肪の例としては、ヒマワリ油、トウモロコシ(コーン)油、大豆油がある。販売されている実に多くの食品に、多価不飽和脂肪が成分として入っていることに気付くだろう。その理由は、とても安いからだ。それに用途が豊富だ。食品産業だけでなく、化粧品や殺虫剤などいろいろな産業で利用され ている。多価不飽和脂肪には、炎症を起こすオメガ6脂肪酸が含まれる。単不飽和脂肪には、非炎症性のオメガ3脂肪酸が含まれる。
オメガ脂肪酸が健康に良い影響があることについては、認識が広がりつつある。そこで食品業界は、狡猾にも、「オメガ脂肪入り」などという売り文句をラベルに書いている。オメガ3か6かを区別しないでおきたいのだ。「植物油」と曖昧にしておきたいのと同じである。われわれが摂取すべきオメガ3と6の比率は、1:4を超えてはならない。安い多価不飽和脂肪を使い過ぎる傾向があるため、実際のわれわれの食生活では、この比率が1:20とか、場合によっては 1:50になっていることもある。
多にも問題が発生している。多くの植物油は、加熱して使うのには役立たない。事実上、全ての植物油の引火点は、飽和脂肪よりもずっと低く、植物性脂 肪は冷温料理に向いている。だが、オメガ3を増やす方向でバランスを取るよう心がけるべきだ。オメガ6脂肪そのものが悪いわけではない。バランスの問題 だ。健康に良いオメガ3の豊富な油は、オリーブ油、クルミ油、アマニ油である。健康に良いオメガ6の油は、ゴマ油と小麦胚種油である。
砂糖の他に、穀物にもオメガ6脂肪がたくさん含まれている。そのため、緑色葉野菜とスプラウト(芽。もやしなど。オメガ3)のサラダ(複雑な状態の炭水化物)は、パン(糖、オメガ6)とは比べ物にならないほど健康に良い。植物油で揚げた(炒めた、焼いた)ものは、油の燃焼により発癌性物質を生じる。熱しても大丈夫なのは、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油である。この中で一番健康によいのは、オリーブ油である(他の二つはオメガ6を含むため)。飽和 脂肪は、全て加熱調理してOKだ。
ただし、180℃以下が望ましい。調理するときは、弱火か中火がよい。弱い火でゆっくりがベストだ。最も熱に強い脂肪でも、180℃を超えると燃えてしまう。このため、分子レベルで超高速で食べ物を加熱する電子レンジは論外だ。顕微鏡で見ると、電子レンジで調理した食べ物は、裂けて壊れている。破裂 している細胞もある。これは第二次世界大戦の頃から分かっていたことだ。それを今、私が言わなければならないのは、残念な話だ。
〔訳註〕スーパーで大々的に販売されているカノーラ油(キャノーラ)について言及がないので補足しておく。カノーラは「健康に良い菜種油」とされているが、これは遺伝子組み換えの菜種の油である。
トランス脂肪
飽和脂肪と不飽和脂肪のミッシング・リンクが、トランス脂肪だ。トランス脂肪は、不飽和脂肪を加熱し、水分を蒸発させ、脂肪を凝固させたものである。その上で、脂肪に水素分子が加えてある。この水素添加プロセスで、脂肪の化学構造が変化する。もとは不飽和脂肪だったものが、飽和脂肪になる。こうした脂肪は人工のもので、自然には存在しない。では何が利点なのだろう?さっきのクッキーだ。植物油は安いのでバターの代わりに使用されるようになった。だが、植物油は、液状であり、バターが当たり前のように持っている半固形の構造ではない。植物油に水素添加することで、バターと同じように利用することがで きる。保存という意味でも長持ちする。バターは自然の飽和脂肪で、トランス脂肪は不自然な飽和脂肪である。それが何だ?消費者には違いが分かるわけがな い、そうだろう?
そう?いつものことながら、消費者は、トランス脂肪の危険性に気付き始めている。ニューヨーク市が初めてトランス脂肪を完全禁止したが、他の都市も間もなく追随するだろう。欧州ではデンマークが一番進んでいて、トランス脂肪を2%以下に制限している。トランス脂肪は、糖類とともに、糖尿病、高血圧、コレステロール疾患、心臓血管の病気、癌、リウマチ性関節炎、カンジタ症、アレルギー、ADHD(注意欠陥多動障害)、うつ病、慢性疲労など、第二次世界大戦以降に出現し、急増した多くの病気の主因になっている。トランス脂肪は、身体にとって異物であり、細胞(DNA)を損傷させる能力を持つ危険なフリー ラジカル(遊離基)である。砂糖や人工甘味料と同様に、そのダメージは蓄積していく。トランス脂肪を長く食べ続けるほど、ダメージも大きくなる。
食品の買い物をするときに、どうやってトランス脂肪酸を見つければよいだろうか?ラベルを見るのだ。水素化(部分水素化)油脂を探せばよい。今日の食品にどれだけトランス脂肪が含まれているか、知ると驚きだろう。
〔訳註〕日本では今まさにトランス脂肪酸の表示義務付けを消費者庁で検討しているようだ。
大豆の神話
最後に大豆の神話を解き明かさなければならない。これも健康食品を好む人が信じていることが多い神話だ。よく根拠にするのが、アジアでは何千年も大 豆を食べてきたという言い分である。これは半分事実だ。遥か昔の明王朝の時代から大豆が食べられてきたのは事実だが、それは発酵した大豆だけである。豆 腐、豆乳、大豆レシチン、大豆油のような生の大豆食品は、二、三百年の歴史しかない。ここでもまた、発酵した大豆を食べる健康的な伝統の話を強調しなが ら、未発酵の大豆と混同させ、われわれの眼をごまかそうとする、強烈な業界の宣伝がある。健康食品の店でさえ、健康食品として売っている。
大豆のどこが悪いのか?フィチン酸が豊富である。この酸は、酵母パンにもあるが、サワードウのパンにはない。サワードウは、発酵したパンで、発酵した大豆と同様、乳酸菌を含んでいる。乳酸菌は、澱粉の糖分を食べるが、フィチン酸も食べる。フィチン酸は、そのまま放置すると、ミネラルを妨害する。鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムといった重要なミネラルの吸収を阻害するのだ。いわゆる乳糖(牛乳)アレルギーの赤ちゃんに豆乳を飲ませるのは、まったく の破滅的行為だ。子供も大人も、発酵していない大豆を食べないように賢く行動しよう。
発酵した大豆食品としては、しょうゆ(ただし、砂糖、MSG=味の素、保存料、着色料など有害な成分に注意)、みそ、テンペがある。特に日本料理に は、発酵大豆がとても合う。豆腐や大豆関連食品に頼っている菜食主義者には、悪い知らせだった。利益を上げる業界の宣伝の犠牲者になったのだ。
(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
訳者メモ
この記事を読むと、戦後主流となった健康神話(脂肪、コレステロール)はアンセル・キーズ(1904-2004)という人物に由来するようである。
そこでキーズ博士について検索してみたが、基本的には、地中海クレタ島の健康な食習慣を広めたという良い評価の情報が多い。だが、次のような記述に出会うと、やっぱりそうだったかと思う。
地中海の食生活のことを最初に調査したのはリーランド・オールボー(LelandAllbaugh)だった。これはロックフェラー財団の資金提供のお蔭で実現した。そして、その後、これを一般に普及させたのが、アメリカ人のアンセル・ キーズ博士である。彼は1950年代前半に南イタリアに移住し、冠状動脈性心臓病で死ぬ人が極めて少ないのに気付いた。
(引用元 Mediterranean Diets)彼は第二次大戦中に、戦時の飢餓と栄養に関する研究(つまり軍事目的の研究)「ミネソタ飢餓実験」(キリスト教徒の志願者を実際に飢餓状態にしたようだ)にも従事し、1950年に『人間の飢餓の生態学』という本を出している。Googleブックスで
"The Great Starvation Experiment: Ancel Keys and the Men Who Starved for Science"(By Todd Tucker)を見ると、部分的にしかプレビューできないので心もとないが、「1931年、キーズは、ロックフェラー財団の奨学金を受けて、ケンブリッジ大学に行った」という記述がある。
Wikipediaでは1938年にケンブリッジ大学で生理学博士を取得したとある。それまでに政治経済学、生物学、海洋学など広範な学位を持っている。
こうした経歴から判断すると、彼は自説を通すために意地になって恣意的なデータ操作をしたのではなく、お世話になっていたロックフェラー財団の大き な目的のために意図的にやったと考えるのが自然だろう。このアンセル・キーズという人物については、もっと調べてみると面白いかもしれない。
(翻訳:為清勝彦
Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
原文の紹介
原文 Fatal and Vital Foods - Popular Nutrition Myths ExposedNaturalNews.com