メキシコ湾岸の都市を襲う火災は原子爆弾並みになる

投稿日: 3/25/2011


マイク・アダムス(ヘルスレンジャー)

By Mike Adams, the Health Ranger

大西洋はハリケーン・シーズンを迎えた。母なる自然は、明日にでも猛烈な嵐を吹き上げ、メキシコ湾岸に送り込めるということだ。平年でもハリケーンは怖ろしい。カトリーナのことは覚えているだろう。だが、今は、もっと気がかりなことがある。海水には油があるのだ。

カトリーナ級のハリケーンがやってきて、何百万ガロンもの石油を巻き上げ、その揮発性の液体をガルヴェストンやニューオリンズのような大都市にふり落としたら、どうなるのだ?

まず、石油は蒸発しないから、空から降って来ることなどありえないという否定意見に反論しておく。ハリケーンと嵐の歴史を調べれば、蒸発しない物が 空から落ちてきたことはいくらでもある。「ネコやイヌが降る(土砂降り)」という表現は完全に比喩だが、いろんなものが空から降ってきた記録が残ってい る。例えば、魚、カエル、大きな氷の球である。暴風雨で海の魚が巻き上げられ、陸に落ちたならば、当然、石油を巻き上げる能力はある。

さらに、化学者に聞けばわかることだが、原油に含まれる様々な物質は、嵐が巻き上げるまでもなく、蒸発する! つまり、油が空気中に蒸発する。もっと正確に言うと、原油中の軽い化学物質には約38℃で蒸発するものがある。ちょうどメキシコ湾の温度だ。

可燃性の化学物質



こうした蒸発しやすい、空気より軽い化学物質は、引火点も低い。石油中の他の要素に比べて低い温度で簡単に火が付く。例えば、ガソリンの引火点は、ディーゼル燃料より遥かに低い。ガソリンは、ディーゼル燃料よりも「可燃性が高く」、軽いからである。

EPA(環境保護庁)は、油をA~Dの等級に分類している。最も軽いA等級の油についてEPAは以下のように記述している。(http://www.epa.gov/oem/content/lear...

「この種の油は、流動性が高く、固体もしくは水面に素早く広がる性質がある。強い臭気を放ち、蒸発スピードが短く、通常は可燃性がある。砂や泥のような多孔質の表面に浸透し、そうした材質・基盤で根強く残留することがある」

このEPA文書には、原油の中の揮発性の高い成分が蒸発することで、残りの部分は重く「タール状」になることも明記されている。

分かりきったことだが、こうした油には火が付く。もともと、そのために原油を開発しているのだ。石油をエンジンに送り込み、ミニ爆発のエネルギーを動力に変えている(たとえばガソリンを浪費するSUVの8つのピストンを動かしている)。

火事が発生する仕組み



石油の噴出が続き、何百万ガロンもの原油を湛(たた)えた状態のメキシコ湾に、大型ハリケーンが接近するとしよう。ある7月の暑い日で、温度は43℃近くに上昇している。揮発性の油は、ますます蒸発を進め、ハリケーンの強風に混じっていく。

ハリケーンは、ニューオリンズに上陸するとしよう。数十万ガロンもの「揮発性燃料」をニューオリンズ市に吹き付ける。最初の内は、ヌルヌルと湿った有害液体で、木や草に損害を与えるだけである。だが、嵐が終わり、陽が照って乾燥したらどうなるか?

油で死んだ木々は、発火材に変身する。日光で雨の水分が蒸発し、燃料だけが残る。そして2~3日、天気の良い日が続けば、全域に燃料がまかれ、炎上準備OKの都市ができあがりだ。消防士にとっては悪夢だ。都市全体が、巨大なマッチ棒に変身したようなものだ。

確かに揮発性の高い燃料は蒸発するだろう。だが、ということは、町全体を爆発性の霧が覆うことになるのだ。火花一つで、出火一つで、落雷一つで、都 市全体が、まさに炎上する。言い換えると、BPの石油流出は、母なる自然の普通のハリケーンを、都市全体への放火攻撃に変える燃料を提供しているのだ。

原子爆弾のスケールに



これは、通常の都市火災とはスケールが違う。芯まで揮発性の燃料が染み込んだ都市で発生するのだ。下水管は、大規模テロの爆弾のように炸裂し、地下のインフラ(光ファイバー、水道、電線など)を粉々にするだろう。公園、草地、森もそうだが、舗装道路そのものが炎上する。何から何まで燃え上がり、どこ から消火作業に着手すべきか検討もつかない。できることは、避難して、全てが燃え落ちるのを眺めることぐらいだ。

火事が終わっても、海辺は依然として石油が覆い、海中には油が残っており、再び火の嵐がやってくる脅威は残っている。いろいろな惨事の序の口に過ぎないかもしれないのだ。

こんなことは起こないと思うだろうか? もちろん、BPは、石油が「ちょっと」漏れているだけで、問題ないと言っている。石油掘削装置が爆発するなんてことはありえないとも言っていた。漏出を塞ぐと言っていた。浜辺を守ると言っていた。だが、問題は悪化する一方だった。今では報道機関さえも、この犯 罪企業はどうしようもない嘘付きだと気付いている。

現在のところBPは、少なくとも200億ドルを借金し、自らが招いたメキシコ湾の営業損害の賠償に努めている。だが、都市全体が炎上するようなことになれば、どうやって補償するのか?

補償など不可能だ。BPが潰れるだけである。即刻、倒産。BPとは、B(バンクラプシー:倒産)P(プロテクション:保護)なのだ。

そうなると誰の損害も賠償されない。コレキシット(分散剤)で殺された魚みたいに、BPは腹を上に向けて倒産するだけだ。ニューオリンズなどの湾岸沿いの都市のように、BPも炎上・破滅するだけだ。

もちろん、私のシナリオは理論上のものであり、これ以上の悪いシナリオはないと信じたい。だが、現実になりうるシナリオだ。大災害は、計画の不手際と、不運が重なったときに発生する。計画の不手際はBPが用意してくれた。次は、母なる自然が、季節性のハリケーンという形で荒っぽく不運をもたらす番で ある。

この2つの要素が重ならないよう望むしかない。もし現実になれば、第二次世界大戦で一般市民の上に原子爆弾が投下されたとき以来の大規模な惨事を目撃することになるかもしれない。ハリケーンでニューオリンズ(他のメキシコ湾岸都市)に石油が降りまかれ、数日後に炎上するならば、原爆投下後の都市に似 た状態になるだろう。

近づかない方がよい。言うまでもないが、近所で石油の雨が降り始めたならば、大事なものをまとめて、逃げ出すべきだろう。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo

原文の紹介・関連情報



原文 The Coming Gulf Coast Firestorm: How the BP oil catastrophe could destroy a major U.S. city

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