リチャード・ゲール、ゲイリー・ナル
By Richard Gale and Gary Null
民主主義の基本原則は、選択の自由である。我々には、政党を選び、宗教を選び、何を食べるかを選ぶ自由がある。だが、医療の選択に関しては自由は無いかのようだ。
最近、CDC(米国疾病対策センター)のACIP(予防接種実施諮問委員会)が、生後6ヶ月以上のアメリカ人全員にインフルエンザ・ワクチンを接種することを11対0の全会一致で可決したことは、またしても医薬品業界の利益・自由市場資本主義に我々の身体を明け渡そうとする連邦衛生当局の行為に他な らない。これは全米のワクチン強制接種実現に向けたステップの一つである。強制接種政策を支持する人は、ワクチン好きの学界に多く存在する。
この可決は、わが連邦政府の科学的な誠実さに警告を投げかけるものであり、その本来の目的と忠誠の対象が誰なのか疑問を呼び起こすものである。アメリカ国民の健康を守ることなのか、それとも、大手製薬会社の利益を増やすことなのか、という疑問である。この勧告が実施されれば、米国は世界で唯一のインフルエンザ・ワクチン強制接種国になるだろう。しかし、我々の調査によれば、米国の衛生当局が他の国と異なるのは、米国の連邦政府の場合、巨大製薬会社の 資金、ロビー活動、企業の便宜が、医薬品・ワクチン政策を形成していることであり、この慣行が全般にはびこっている。
ワクチンの強制接種は日本で失敗した
インフルエンザ予防接種の義務化は、過去にも国家規模で試行されたことがある。1980年代の日本で、学校の児童にインフルエンザの予防接種が強制された。ワクチン接種率が1%から90%の範囲の四都市の子供を対象にした2件の大規模調査の結果、インフルエンザ感染症の発病率に違いは無いことが判明した。その結果、日本の衛生当局は、1987年にインフルエンザのワクチンは効果がなく、接種を継続するならば、深刻な財政負担・法的責任を負うだけだと判断している。接種の義務化政策は、速やかに覆された。1989年までに、日本のインフルエンザ・ワクチンの接種数は20%に減少した。その当時の事後調 査で、インフルエンザの感染率は、義務接種があった時期と比較して統計学的に無意味な差しかないことが判明している。[1]
現在我々は、来る2010~11年のインフルエンザ・シーズン用に、H1N1インフルエンザ株を季節性のインフルエンザ・ワクチンに組み込む予定だと聞いている。H1N1株を含む4つの株から成る4価ワクチンになる予定である。今月現在、WHOは依然としてH1NIウイルスをレベル5のパンデミックと評価しており、WHOは信用できないことに気付き、聞く耳をもたない人々に警告を発し続けている。我々は今年もまた、いつもながらの恐怖ストーリー、マ スコミの歪曲報道、インチキ科学に備えて気を引き締めなければならない。
過去のH1N1パンデミックの空騒ぎをざっと復習しておけば、CDCの諮問委員会に蔓延する「否定中毒」を理解することができるだろう。それは、医学的な事実とは無関係な妄想のシャボン玉のようなものだが、CDCはその中に浮かんでいるのが心地よいと思っている。最近の
CDCは正当な科学らしきものとは無縁であり、犯罪的なまでに無責任でばかばかしい意思決定をしているのが明らかだ。
過去のインフルエンザ・シーズンで、CDCのウィルス株の予測が正確であったためしがない。実際に、多くの場合、惨憺たる内容だった。昔の1976年の豚インフルエンザの予測では、結果的に豚インフルエンザで死亡したのは1名にとどまった一方で、ワクチンのせいで何百人もが生涯の障害に苦しみ、死者さえ発生した。1992~93年のインフルエンザ・シーズンの場合、ワクチン用のウイルスの予測は84%外れた。1994~95年のシーズンの場合、主要ターゲットにしたウィルス株は43%外れ、他の2つのウィルス株については、それぞれ87%、76%外れた。1997~98年のシーズンに出現したウィル ス株を比較対照したCDCの研究所は、84%の不一致があったことを明らかにしている。コインを投げる方が正確に予測できるということだ。
CDCの恐怖作戦
定評あるブリティッシュ・メディカル・ジャーナルが2005年に発行した「米国のインフルエンザの死亡統計は科学ではなく広告なのか」という記事を読むと、WHOとCDCが大規模予防接種の論拠とするために大幅に膨らませた数字のことがよくわかる。この記事は、いきなり冒頭から「米国のインフルエン ザ死亡数は滅茶苦茶だ」と始まっている。
この調査は、CDC自身の統計データを検証し、「公式推計と人口動態統計」の間に数多くの食い違いと矛盾があることを発見している。
政府の予測は、衛生当局が述べたような「悲惨な結果」というほどのものにはなっていなかったが、CDCは高レベルの恐怖をコミュニケーション戦略の中心に据えた。[2]
前のH1N1パニックをアメリカ政府がどのように予測したかも、インチキ科学と無能さの例証になる。USAトゥデーの昨年8月号で、CDCから勧告を受けたホワイトハウスの科学技術諮問委員会は、H1N1によって3~9万人のアメリカ国民が死亡すると脅している。それと同時にCDCは、200万人が感染し、全人口の40%に達する可能性があると予測していた。アトランタの複合ビルでCDCと同棲しているWHOも、世界中で750万人が死亡すると叫んでいた。この予測に従い、FDAは、医薬品メーカー5社が製造する豚インフルエンザ・ワクチンを急遽準備したが、このワクチンはいずれも現実の臨床試験で 信頼性が確認されたものではなく、有効性と安全性を示すデータもなかった。
そして、妊婦、幼児、年寄りが、主な標的になった。これはワクチンの深刻な有害反応の危険性が最も高いグループでもある。
2億2900万回分のワクチンの注文が入った大手製薬会社の懐には、16億ドル以上の納税者の資金が入ったが、実際に接種されたのは9千万本に過ぎず、残りの7100万本は在庫で期限切れを待つか、アメリカの慈善精神の発露として貧しい国に廃棄されることになった。
ところが、2009年から2010年初めにかけ、人々は豚インフルエンザ・パンデミック警報のインチキに目覚めてしまった。こうしたインチキや汚職 事件を嗅ぎ分けるには、ドアを締め切った会議室で連邦政府の役人が盲従するエセ科学に頼るよりも、直感の方が優れていることが多い。このH1N1パンデミックとされた事件についても、直感が正しいことが証明された。衛生当局が主流メディアを使って宣伝した警告や数字は、単純につじつまが合っておらず、ワ クチン・メーカーと結び付いていない独立系の情報源による医学的に信頼できる情報、偏見のない情報と常に矛盾していた。
CDC、FDA、HHS(保健社会福祉省)が数字を発表する度に、疑ってかかり、正確性をチェックしなければならないという慎重な姿勢が経験則として求められた。実態はといえば、
CDCは、前シーズンのインフルエンザ感染率についても、H1N1株による死亡数についても、まったく手がかりを持っていなかったのである。その理由を説明しよう。
適切な検証は全く実施されてなかった
2009年5月、WHOがインフルエンザ様の症状の感染症例の生物学的原因を識別する標本検査を中止する決定をすると、すぐに米国もそれに従った。そうなると、たとえ彼らが何と言おうとも、グプタ博士やマスコミ、既成勢力が何か言わざるをえなくとも、適切な検証は実施されることはなかった。H1N1 のようなA型のインフルエンザ株のサブセットを実際に特定できるのは、PCR技術だけである。だが、感染の拡大規模とスピードを追跡できるよう継続的に PCR診断がなされることはなかった。CDC自身が認めているが、
病院や診療所で使用されている簡易インフルエンザ・キットでは、最高で10回の内9回も間違った結果が出るもので、平均すると40~69%は間違いだった。CDCは、簡易検査は「H1N1感染症と診断するにはあまり役に立たない」と判断している。
何百万人もの生命を危険にさらす可能性をもち、世界規模の脅威と思われた感染病の把握に責任あるはずの組織が、感染症の動向を注意深く把握しないという決定をしたことは、理解可能な範囲を超えており、H1N1株が微弱で社会的な脅威にならないことを悪意をもって予見した結果、わざとそうしたとしか考 えられないのである。実際に多くの独立系の感染症の専門家が、この問題を言い続けていたが、衛生当局は無視し続けた。
それでも、H1N1感染による死亡率の報告が、CDCの整合性に深刻な疑問を投げかけた。CDC報告によると、8,870人~18,300人のアメリカ人が豚インフルエンザで死亡したという。単純化するため、衛生当局はこれを12,000人の死亡として流布した。
イギリスでの予測も、同等に見当違いだった。英国保健省は65,000人の死亡を予想していたが、シーズンの終わりまでにわずか500人の死亡だっ たことを報告している。そして、8億6400万ドル(国家備蓄分を含めると、あのイギリスの少ない人口に対して1兆ドルを超えた)以上の契約により1億1000万回分のワクチンが調達されたにもかかわらず、この汚職詐欺の情報を得ていた英国民は、600万人(およそ10%)しか予防接種を受けなかった。
世界全体の豚インフルエンザの死者数としてWHOが報告した人数は何人だったか。18,036人である。ケタを間違ってはいない。何百万人ではなかったのだ。これは、通常の季節性インフルエンザに関連する世界死者数のわずか5%である。H1N1ウィルスが米国籍を持つ人間を自動操縦で狙い撃ちするような性質を持っているとでも考えない限り、博士号がなくとも、このひどい数字の不整合に気付くことはできる。だが、CDCがこうした間違った数字を使う 理由は簡単に理解できる。
CDCのインチキ統計学
第一に、先述の通り、そもそもCDCは、正確性を期して豚インフルエンザを把握することはなかった。つまり、我らの政府職員には、正確な判断をするためのデータはなかったし、今もないのである。
第二に、
CDCは、インフルエンザ・ウィルスによる死亡と、肺炎による死亡を区別しなかった。死亡統計でこの2つは一緒くたにされ、肺炎関連の死者は、初期にインフルエンザに感染していたものと報告された。たとえば、2001年のインフルエンザ・シーズンの数字を使い、インフルエンザ と肺炎の死者を合計し、歪曲すると、62,034人がインフルエンザで死亡したように思える。その
実際の内訳は、肺炎による死者61,777人、インフルエンザによる死者257人である。
さらに驚きだが、この257人の内、わずか18人が科学的にインフルエンザ・ウィルスに陽性であると確認されているにとどまる。これはCDC自身が出している数字である。だが、ニューヨークタイムズ、ボストン・グローブ、ワシントン・ポストなど、マスコミは、こうした事実を報道しただろうか? そん なことはしない。テレビでブツブツ話す操り人形たちは、政府の情報源のデータを自分で勉強したのだろうか? してはいない。
国立健康統計センター(NCHS)が別途実施した調査によると、1979~2002年のインフルエンザ・シーズンについて、実際にインフルエンザで死亡した人数は257人~3,006人の範囲であり、年平均で1,348人だったことが分かっている。[3]
大手マスコミが宣伝し続け、今でもCDCのウェブサイトに掲載されている36,000人というインフルエンザの年間死者数とは大きな乖離である。
そして決定的なのはこれだ。これと同じ判定基準を当てはめて2009-10年の豚インフルエンザ関連の死者の実数を判定すると、ワクチンの深刻な副作用(何百件もの流産は含めず)は、ウィルスによる死傷を遥かに上回るのである。
第三に、インフルエンザのシーズンでは毎年のことであるが、インフルエンザ様の症状を発生させる可能性のあるウィルスは150種類以上もある。アデノウィルス、パラインフルエンザ、ボカウィルス(bocavirus)などだ。こうしたたくさん種類のあるウィルスの内、検査対象になっているのはわずかである。たとえば、もっと注意深く感染率をモニターしているカナダでは、2004~05年のシーズンでインフルエンザとして検査を実施した68,849件 の内、
わずか14.9%がインフルエンザ・ウイルスに陽性反応を示したことをカナダ伝染病報告(CanadaCommunicable DiseaseReport)が伝えている。残りの85.1%の標本は、インフルエンザ・ワクチンなど平気な他の病原菌によるものだった。[4] 次の2005~06年のシーズンには、ヘルス・カナダ〔訳註:カナダの衛生当局〕は68,439件のインフルエンザ様感染症の検査結果を得ている。その内、わずか6,580件 (10.4%)が、インフルエンザ陽性と確認された。残り(89.6%)は、他の病原菌だった。[5]
つまり、9割近い人々にとって、ワクチンのメリットはなく、保護できなかったはずなのである。
それでも米国では、CDCは、現実に基づく健全な根拠もなく、投機的な予想と様々な計算アルゴリズムを駆使して数字を作り上げ、秘教的な魔法に頼っていたのである。あるCDCのサイトに、インチキ手法の証拠が残っている。「死亡診断書に呼吸器・循環器系の病気が死因と記載されている人々の内、インフ ルエンザ関連で何人死亡したかを推計するに当たっては、統計モデリングを使用した」[6]
これは明らかに、健全な科学的根拠を無視した、独断的なやり方に方針が変わったことを示している。いつものことであるが、科学的な根拠を無頓着に無視して、全速力で突き進んだ。
CDC内部でも立派な人々は、アメリカ国民にインフルエンザ・ワクチンの副作用リスクを伝えようとしていた。ギランバレー症候群、統合失調症、神経 障害、流産、多発性神経炎、脳炎、多発性硬化症、髄膜または脳の炎症を思わせる激しい頭痛、失語症、気管支肺炎、性的不能、胸部苦悶、過敏症反応、そし て、死亡である。[7]
さて、大西洋の向こうで、CDCの同棲相手のWHOに対し、EUがどのような調査をしているか、これを見逃してはいけないだろう。あらゆる階層でことごとく腐敗しているWHOのことだ。
WHOの腐敗
最近発表された2件のレポートは、WHOに深刻な不正行為・利益相反があったことを告発している。2009~10年のH1N1の捏造ストーリーと風 説流布のことであり、これは世界の衛生行政の「重大な過失」と呼ばれている。WHOの人々の予測精度は、イラクのWMD(大量破壊兵器)を想定したブッ シュ政権と同程度だった。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルは、特集記事担当のデボラ・コーヘンと、ロンドンのBureau of Investigative Journalismのフィリップ・カーターによる調査記事を掲載し、
H1N1インフルエンザを誇張して方針決定を誘導し、医薬品業界の複合体によるインチキ恐怖キャンペーンをもたらしたとして、世界最大の衛生行政組織を非難している。その記事は「WHOの信頼性、そして、世界的な公衆衛生システムの信用」は傷ついたと述べている。
PACE(欧州評議会の議員会議)の医療委員会による第二次予備報告が発表された。これは破壊的な内容であり、豚インフルエンザの恐怖を操ったWHOのおぞましい過失と透明性の欠如が浮き彫りになっている。WHOのH1N1インフルエンザ・ウィルスの拡大予想と評価の舵取りを行い、フェイズ6のパンデミック宣言をするようアドバイスしたWHOの主な諮問委員会(特に「緊急委員会」と呼ばれる秘密集団)は、ワクチン・医薬品の私企業(特にH1N1ワクチンと抗ウィルス薬のリレンザのメーカーであるグラクソ・スミスクラインと、タミフルのメーカーのロシュ)の泥沼にどっぷりと漬かった科学者たちだっ た。
更に悪いことに、
WHOは一度も広範囲に及ぶ利益相反を開示していなかった。PACEの報告を担当したポール・フリンは、「製薬会社の触手は意思決定プロセスの全レベルに及んでいる」と述べ、「虚偽の科学に基づき、危険性を大々的に過剰評価した」と述べている。
長々とした調査の末、予備報告(来月に最終版となる予定)は、WHOが適切な管理を怠った結果、「巨額の公共資金がムダになり、健康上の危険によって欧州の人々を不当な恐怖に陥れた」としている。
WHOは、秘密の「緊急委員会」の16人のメンバーの名前をいまだに発表していない。
だが、今週、メンバーの2人が辞任した。特にオーストラリアのカーティン大学のジョン・マッケンジー(JohnMacKenzie)博士は、最初にパンデミック宣言を急き立てたWHOアドバイザーであり、医薬カルテルへの投資や金銭的な利害関係にまみれていること で有名である。
今のところ、欧州でのWHOの論争を、CDCは無傷のまま切り抜けている。PACEの調査と聴聞は、基本的にWHOだけをターゲットにしている。H1N1のインチキを流布し、景気失速と不況の中、何十億ドルもの資金を製薬業界に流し込むのに共謀した政府の衛生当局が果たした役割については無視して いる。知らないふりをして不正行為を否定するWHOが崩れ落ちていくのを目の当たりにする今、この極めて高いコストになったH1N1のインチキ流布にCDCの共謀はあったのかという疑問はどうしても残る。
もちろん、ワクチン業界は、調査のことなど気にしない。彼らのワクチン、抗ウイルス薬、医療カースト制の寡頭支配は、独立系の国際調査など気にも留 めない。彼らの愛玩犬であるニューヨークタイムズ、MSNBC、その他マスメディアが、彼らの犯罪を暴くようなことは間違ってもありえない。
見せ掛けの医療の芝居の裏で、製薬業者は大儲けで笑いが止まらない。総崩れパンデミックで果たした企業の役割を説明するため調査委員会に出頭するメンバーの中には、大手製薬会社の役員は1人もいない。それどころか、60億ドル以上(AP通信、2010年5月19日)を記録しただけではものたりず、再び平常通りの営業に戻って次のインフルエンザ・シーズンで儲けようとしてい る。
あらゆるレベルで金銭的な腐敗
WHOと同様に、全員接種を可決したCDCのACIP(予防接種実施諮問委員会)も、ワクチン・医薬品メーカーとの金銭的な関係にどっぷり漬かった 人たちで一杯である。この委員会の議長をしているキャロル・ベイカー(CarolBaker)博士(ベイラー大学)は、大手製薬会社から継続的に研究助成金と私的献金を受領している。彼女は、全米感染症財団(NationalFoundation for Infectious Diseases,NFID)の理事もしている。この財団は、医薬産業複合体によって頻繁に豪勢な接待を受け、特権を与えられている有識者組織である。
ベイラー大学からもう一人委員会に参加している ウェンディ・カイテル(Wendy Keitel)博士は、米国で最も広く流通しているH1N1ワクチンのメーカー、ノバルティスから臨床試験の支援を受けている。
シアトルのChildren's University Medical Groupのジャネット・イングルンド(JanetEnglund)博士は、メドイミューン(経鼻ワクチン)、ノバルティス、サノフィパスツールが製造したワクチンに好意的な臨床試験を実施するために資金 支援を受けている。
コーディ・マイスナー(Cody Meissner)博士は、メドイミューンのRSVワクチンの臨床試験、および、ワイス社の子供向け連鎖球菌ワクチン「Prevnar」の事業参加のために、タフツ大学を通じて大手製薬会社から支援を受けている。
これを大局的に眺めると、FDAは、業界が資金を出した臨床試験とその結果のデータに依拠してワクチン・医薬品を認可しているわけであるから、今月、専門家の査読済み試験結果として、ドイツの「医療の品質と有効性研究所(Institute for Quality and Efficacyin HealthCare)」から重大な発表があるのも頷ける。この調査では、米国で認可された90の医薬品を調べており(もちろん、ワクチンも医薬品である。インフルエンザ・ワクチンは、実際にカテゴリーCの医薬品に分類されている。つまり、インフルエンザ・ワクチンを妊婦や胎児に接種した場合の副作用を判定する適切な 安全性調査はないことになる)、900本の論文の内、60%が公表されることなく、一部は連邦規制当局の目に触れないように隠匿してあったことも判明した。40~60%は、臨床試験の詳細を省略もしくは最終分析で改変してあった。医薬品業界の研究だけで見ると94%は非公開であり、製薬会社がスポンサー になり大学が実施した研究の86%が非公開のままだった。
これは何を意味するのか? もし良好な結果ならば、製薬会社はためらいなく調査結果を発表するだろう。だが、もしも臨床研究結果が想定したものに反して悪い結果であり、そのために政府の認可や製品免許に遅れが生じるならば、発表する意味はないだろう。もともと彼らには調査を実施したり、発表したりす る法的義務はない。その結果、
アメリカの人々は、医薬品・ワクチンに実施された臨床データの約90%を知ることができない状態にある。
インチキの科学、役に立たないワクチン、ドブに捨てた金
このドイツの調査は、
製薬会社は意図的に「悪い結果、もしくは、期待に沿わない結果を隠している」と結論つけている。
こうして、ワクチン・医薬品メーカーは、WHO、CDC、FDAの全面参加と協力を受けた密室会議で、邪悪なインチキ科学を推進することができてい るのである。もちろん、CDCとFDAは、完全に医薬品業界の権力と資金に服従しているため、こうした行動を黙認しているのである。
最近のCDCの決議は、誇張され過ぎた警報と、十分な期間安全性と有効性を確認していないH1N1ワクチンの推進を警告する独立系の調査やレポートを否定する、CDCの伝統を繰り返したものである。彼らは、内部の意見さえ否定する。
アンソニー・モリス(Anthony Morris )博士は、卓越したウイルス学者であり、FDAのワクチン局長をしていた経歴を持つ。インフルエンザワクチンに関する彼の意見をみると、その有効性がよくまとめられている。モリス博士の見解では、
これまで開発されたどんなインフルエンザ・ワクチンも、インフルエンザの攻撃を防止したり軽減したりする効果が確認されたものはなく、記録された事実として
「ワクチンのメーカーは役に立たないことを知っているが、とにかく販売し続けている」という。
カナダの「ワクチンの危険性に目覚めるネットワーク (VRAN)」のウェブサイトには、医師、研究者、ワクチン専門家、ワクチンの虚偽の効果とインチキ科学を伝えるジャーナリストが集まっている。いろいろなワクチンの 中でも、インフルエンザ・ワクチンには「史上最高に役に立たないワクチン賞」が授与されている。
インフルエンザ・ワクチンの効能を破滅的なまでに否定する証拠が、トム・ジェファーソン(TomJefferson)博士が実施した2件の調査の中で報告されている。ジェファーソン博士は、著名な独立系のコクラン・データベース・グループのワクチン部門の長であり、この報告は、ランセットと、コクラン・データベース・システムズ・レビューに掲載されている。最初の研究は、健康な子供におけるインフル エンザ・ワクチンの効果を体系的に調べたものである。[8]
もう1件は、インフルエンザ・ワクチンに関する安全性の証拠(公表・未公表にかかわらず利用可能なものすべて)の検証である。[9]
この調査の著者は、企業が保有していながらも公表していない試験結果を追加で入手するため、有効性・安全性の試験評価全てに携わった学者・研究者グループに接触している。その結果は、衝撃的だった。
不活性化インフルエンザ・ワクチンを使った安全性研究は、唯一1976年に実行されたものだけだった。34年前だ! さらに、そのたった一回の研究だが、生後12~28ヵ月の子供を35人、対象にしていただけだった。それに続く後の他の全ての不活性化インフルエンザ・ワクチンの研究は、3才以上の子供を対象にしていた。
ジェファーソン博士はロイターに語っている。「この調査結果によれば、生まれたばかりの子供たちの免疫につながるとは支持できない。ワクチンが死亡率、入院、深刻な合併症、インフルエンザ伝染を減らすことを示す説得力ある証拠は確認できなかった。2歳以下の子供では、
偽薬以上の効果がワクチンにある証拠は見つからなかった」[10]
成人については、66,000人を対象とした64件の研究があるが、「健康な大人の予防接種はインフルエンザの危険性を6%減らし、就労不可能な日 数を1日未満減らしただけだった。入院患者数については、予防接種していない人と何も差異が認められなかった」とジェファーソン博士は述べている。
また博士は、2009年7月21日のドイツの雑誌、Der Spiegelのインタビューで、H1N1のパニックのことを分析した結果、次のような結論に辿り着いたことを述べている。
「時々、業界全体が、パンデミックが発生するのを心待ちにしているような印象を受けないだろうか。WHO、公衆衛生の当局、ウイルス学者、製薬会社。彼らは、切迫するパンデミックを軸にして装置を築き上げている。そして、巨額の資金が絡み、権力、キャリア、組織全体が絡んでいる! あとはウィルス が一つ変異すれば、パンデミック装置が稼動し始めるわけだ」
インフルエンザ感染の防止に効果があるというよりも、副作用のリスクの高いワクチンをアメリカ国民に押し付けることに、正当な理由がないのは明らか だ。CDCの決議がこのまま持続し、この地の法律になろうものならば、企業利益のためにアメリカ国民に加えられた最大級の犯罪を目撃することになるだろう。子供たちへの激烈な副作用もさることながら、インフルエンザ・ワクチンに含まれる数多くの毒素のために何年も後にならないと現れない副作用も多発する だろうし、
何千人という女性の流産もあるだろう。我々は新段階の医療の衰退期を迎えようとしている。真実の科学、責任ある医療、信頼できる衛生当局は、事実上、存在しない世界である。
(翻訳:為清勝彦
Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
原文の紹介・関連情報
原文 Flu Vaccines, pharma fraud, quack science, the CDC and WHO - all exposed by Richard Gale and Gary Null原文 The CDC Votes in Favor of a Flu Vaccination Assault on Americans' Health (The Smirking Chimp)