この15回シリーズでは、健康への脅威から身を守るため、生まれつき持っている内在的な治癒能力を活性化させる様々な革新的な手法で自己治癒することを述べてきた。今回は、さらに治癒能力を加速させることになる「感謝パワー」を探求していく。
といっても、宗教的な雰囲気の、気恥ずかしくなるような自己啓発論ではない。外界の人や物に対して感謝の気持ちを表すとき、身体の中では本当に治癒効果が発生している。この効果の一部は生化学的に計測可能であるが、現代の科学的な測定法では捉え切れない面もある。だが、最終的な結論には議論の余地が 無い。感謝を表明することは、あなた自身の心と身体に強力な治癒効果を生じる。
何に感謝すればよいか?
だが、感謝の気持ちに到達するのは、なかなか容易でないことが多い。心の底から感謝できるようになるためには、物事のネガティブな面から焦点を移動し、ありがたいと思えることに意識を向ける必要がある。そして、ご存知の通り、日常的に経験していることには驚くべきことばかりだが、我々はすぐに感謝す ることを忘れてしまう。
西洋社会に住む我々の多くは、「不足」にばかり目を向ける傾向がある。十分なお金を持っていないとか、十分に時間がないとか、求めているパートナーが見つからないとかである。特段注意しなければ、そうした思考が習慣になってしまうのだが、そうしていると、我々が手に入れている驚くべきことを忘れてしまいがちである。身を引き一歩離れて、価値あることを既に経験していることを見れば、より感謝の気持ちが湧き出てくる。そして我々自身に内在する癒し能力 も促進されるのだ。
以下に、多大な感謝の気持ちを抱くことができると思われるものを列挙してみる。
・健康。たとえ完璧でなくとも、現在の健康状態に感謝することはできるかもしれない。
・家族。
・自由(言論の自由など)
・知性、意識、認識。
・記憶!(記憶を欠いた生命は奇怪だ)
・日光と自然。偉大な屋外の世界。
・食べ物と種子。母なる自然からの素晴らしい贈り物。
・必要な収入を提供してくれる仕事、事業、職業。
・新しいことを学びたいという好奇心の旺盛さと願望。
・精神的な覚醒、気付き、哲学。
・ペット、動物との交流。
考えてみれば、感謝の気持ちを抱く対象はいくらでもあるだろう。窓際の小さな植物、読書を通じて蓄積した健康の知識、それに、また明日になれば日が昇るという事実さえも感謝だ。
少しの時間を割いて、感謝すべきものを考えてみるとよいだろう。自分自身のためにメモに書き留めておくのもよいかもしれない。
毎日60秒を取っておく
感謝リストを作ったら、そのリストを見直す時間を毎日1分(もっと長くてもよいが)確保するとよいだろう。そして、感謝の気持ちを言葉に表し、自分が「持っているもの」に対する感謝の気持ちを実際に取り込んでいくのだ。実際に声に出して言うとよいだろう。たとえば「私は、庭の菜園と、そこで自分の食 べ物の一部を育てられる機会があることに感謝します」という感じだ。
毎日実践していけば、1日たった60秒で、感謝の姿勢を身に付けることができる。そうすると、気分が明るくなり、毎日の生活の体験を向上させることになるだろう。自分自身が嫌悪するものよりも、感謝するものに、気持ちが集中するようになるからだ。
そうすると、先に指摘した通り、本当に身体に現実の生理的・生化学的な治癒効果をもたらす。
感謝が自己治癒をもたらす仕組み
あなたが他者に向けて発するエネルギーは、すべて自分自身の内的な経験に反映される。誰かに(あるいは物に)対して憎しみを表出するならば、それと 同時に、そのエネルギーに相当する要素が内部的にも表出されている。言い換えると、誰かを憎むと、その憎しみの反射を自分自身にも向けることになる。
同時に、誰かを愛すること、あるいは感謝の気持ちを捧げることは、そうしたポジティブなエネルギーの反射を生じることになり、これはあなたの体内で感知される。だから、感謝を表明する行為だけで、一つの自己治癒になるのだ。
長年にわたって、ポジティブな話もネガティブな話も書いてきた私としては、このダイナミックな力を嫌というほど思い知らされている。私がNaturalNewsのためにネガティブな記事(非難する内容)を書くとき、反射して返ってくるエネルギーもまた、ネガティブな調子であることが多い。特に非難の対象となった関係者からそうしたエネルギーを受ける。だが、ポジティブな記事を書くときは、私に反射されて返るエネルギーも、非常にポジティブ である。
ではなぜネガティブな記事を書き続けるのか、不思議に思われるかもしれない。それはなぜかと言えば、時には、あまりにもひどい不正があり、たとえネ ガティブなエネルギーの反射を受けるという個人的な犠牲を払ってでも、公然と暴露してやる必要があると感じるからだ。それでも、最近の何ヶ月かのNaturalNewsの記事を読んで頂くと、変化が生じていることに気付いてもらえることだろう。よりポジティブな内容の記事にシフトしているはずだ。もともと私はポジティブなものを書く方が好きである。ポジティブな話題を書いたり、ポジティブな製品レビューを書くことができるときは、そうした機会が与えられたという事実だけで、私は本当に大きな感謝の気持ちを感じる。そうすることで、私自身、とても良い気分になる。そういうわけで、この記事に書いた通 りの感謝のダイナミックスを私も実践している。
これに関して興味深いことを仏教では教えている。自己治癒効果という意味では、感謝の対象は何であってもよいのだ。身体の治癒に対するポジティブな反射効果には変わりない。泥道にある石を発見したら、それに感謝を捧げればよい。それでも相当の利益を受け取ることができる。
実に、世界中のどんな人間でもどんな物でも感謝の気持ちを捧げることができる。たとえ、そうした謝意が必ずしも正当でない対象であってもだ。それで も、心身の感謝の治癒効果を得ることができる。「生命」とか「神」あるいは「宇宙」といった大きな概念に感謝を表明するならば、それでも効果はある。
怒りは感謝の気持ちと共存できない
怒りは極めて破滅的な感情である。ストレスを発生させ、副腎の消耗と緊張を引き起こす。だが、学べば、怒り(他のネガティブな感情も)を感謝に置き換えることができる。怒りには感謝と共存できない性質がある。
そうして、感謝の気持ちでネガティブな感情を押し出すことができる。ただし、非難や怒りが必要なときに、識別もせず、やみくもに何でもかんでも感謝して回ることを意味するのではない。だが、日常の中に感謝できるものを沢山発見できるようになればなるほど、身体に内在する治癒プロセスを活性化させ、支 援することになる。
だから、今日から、感謝できるものを再発見していこう。そして、その感謝の気持ちを心の中で表し、あるいは言葉に出して表し、ポジティブなエネルギーが自分自身に反射されて戻ってくるのを体験してもらいたい。
(翻訳:為清勝彦
Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
原文の紹介・関連情報
Part Twelve -
The "Attitude of Gratitude"