あなたは「自然欠乏症」に陥ってないだろうか? 現代社会の大半の人は、毎日24時間の大部分を室内で過ごしているが、その一人ではなかろうか。人工の蛍光灯の下で働き、家やアパートの中で食べて眠り、車・バス・電車といった人工環境で通勤・通学していることだろう。外に出ることは滅多になく、あっ たとしても、本当の自然ではなく、コンクリートの歩道にメンテされた芝生という人工的に計画された公園である。
そうならば「自然欠乏症」を患っている恐れがある。私も今までそうだったので、よくわかる。多くの人もそうだろうが、私は子供の頃は屋外で過ごす時間が多かった。だが、成人すると、屋内で過ごす時間が次第に増えているのに気づいた。屋内で循環する空気を呼吸するばかりで、自然の中で過ごす時間がほと んど無いことは、生涯の健康に良いレシピでないことに気付くまでそれほど長くはかからなかった。
今や私は自然派である。自然の中で過ごす時間は、それ自体が癒し効果を持っている。特に子供は、自然不足のマイナスの効果を受けやすい。しかし、通常の医学分野の人たちには、自然が癒し効果を持つという考え方をする人は殆どいない。そのため、自然の中で時間を過ごせば健康が改善するというメッセージ は、あまり注目されることはない。
私は、自然の中で過ごす時間が少ないと、うつ病、肥満、さらにはガンも促進されると思っている。健康の持続のためには自然が重要だと考えたため、実際に私は住居を移し、一年中春のような気候の国に永住することにした。年中、毎日、外に出て自然の中にいることができる!
そんなことは、たいていの場所では無理だろうが、どこに住んでいようと、なるべく自然の中で多くの時間を過ごせば、治癒効果が期待できる。具体的には、以下の通り。
自然の中でどのように過ごせば治癒につながるか?
日光
日光は、地球上のすべての生命を支えている。日光なくして、地球上に生命はありえない。身体は知覚可能なレベルの日光に晒されるようにできている。だから、合理的な量の日光を直接肌に浴びることは、健康にとって良い効果がある。
既にご存知だと思うが、日光によって、皮膚はビタミンDを生成することにもなる。ビタミンDは、今のところ現代の世界で発見された最も奇跡的な栄養素であろう。ビタミンDは、ガン、心臓病、糖尿病の予防になる。骨密度と免疫機能を亢進させ、ワクチンに期待されている効果よりも、よほど効果的に感染症 を防止することができる。
ビタミンDを多く得るには、自然の中でなるべく沢山時間を過ごせばよいだけだ!
自然の音
自然の中にある音は、それ自体で、癒し効果がある。本物の自然の音の中に自分を置くだけで、ストレスと血圧を下げることができる。これは科学的に証明可能だ。
自然界で最も強力な治療効果を持つ音は、水が発する音のようだ。滝、沢や小川を流れる水、雨の音、雷雨などである。自然の音をループ再生する音響調 整装置で、模倣音を出すこともできる。非常に有効な装置ではあるが、やなり本物の自然で体験する本物の音の癒し効果にはとても及ばない。
色彩
科学的に言うと自然の色は、様々な波長の光であるが、これが目の網膜に当たり、脳が色を解釈している。
こうした様々な波長そのものが、実は、ある種のエネルギー治療である。光はエネルギーであり、身体が健康になるということは、こうした多様なエネルギー波長の組み合わせを身体が浴びることに他ならない。様々な色の花、植物、動物を見るだけで、治癒につながるのは、そのためだ。さらに脳を刺激して、活 発・明晰にする効果もある。
自然の中で多くの時間を過ごすと、脳は多様な自然の現実を探求することになり、より高い認知レベルで機能するようになる。反対に、頭の動きが鈍い人は、屋内(風景が変わらない場所)で過ごす時間が長い傾向にある。
動くこと
自然の中にいると、身体を動かさざるを得ない状況になる。自然の中にいれば、歩くか、走るか、自転車に乗るか、泳ぐことになるだろう。それでも、とても美しい風景のため、辛い「運動」とは感じない!単純に楽しい!
こうした運動の健康効果はものすごい。血流の促進、骨密度と筋力の向上、柔軟性の向上、リンパ液の循環促進など、たくさんの効果がある。その上、自然の中にいるだけで、苦労もなく得られる効果なのだ。
空気
屋内の空気とは質的に異なる何かが、自然の新鮮な空気にはある。屋内の空気は、建築で使用される様々な合成材料から生じる気体(化学物質)で汚染さ れている。カーペット、家具、塗料、接着剤、染料などである。さらに、屋内のエアダクトからは、カビ胞子が発生していることが多い。
それとは違って、生きた松の森(松でなくてもよいが)の空気は、さわやかだ!「マイナス・イオン」が理由だと考える人もいるが、他にも多くの理由がある。自然の新鮮な空気には、ほとんど魔法のような何かがある。甘くて、エネルギーに満ちている!自然の中でたくさん時間を過ごすほど、肺に新鮮な空気を 入れることができ、治癒効果を体験できる。
我々は生まれつき「新鮮な空気」を渇望している。地球上の人間なら誰でも、直感的に自然の空気は室内の空気より良いことを知っているはずだ。どうしてこの知識が人間の脳の深くに刻まれているのだろうか?
微生物
西洋医学では、無菌状態が安全だと考えている。そして無菌の環境で人々が生活することを望んでおり、生活環境(食べ物も)にある微生物をすべて抗菌性の石鹸と医薬品で殺している。
だが、一部の微生物は、健康にとって非常に重要だ。健康のバランスと免疫機能の働きにとって、現実の世界で微生物に接触することは、非常に大事である。そして、微生物と接するには、自然の中に出ることが一番だ。
私が子供の頃は、泥遊びをしていた。池で泳いでいた。草の上でキャンプしていた。現在の親は、子供たちが泥で遊んだり、「殺菌されていない」自然の川で泳ぐと言えば、ぞっとするだろう。こうした無菌状態への強迫観念は、ひどい見当違いである。自然を探求することだ。そして、手が汚れようとも、現実世 界を体験することを恐れてはいけない。
バイオ・エネルギー
自然のヒーリング効果をもたらす光、音、空気、その他を超越した向こうに、目に見えない何かもある。それは、生命システムのバイオ・エネルギーだ。科学者はまだ理解していないが、生命あふれる豊かな生態系には、人間の身体と心を「再充填」する力がある。自然の中で過ごすと、あなたというシステムは若 返える。都会の生活で消耗したエネルギーを回復させてくれる。
自然のバイオ・エネルギーの魔法に触れるには、自然と物理的に接触することだ。裸足で歩くこと。木を抱くこと。花に触れること。草の上で横になるこ と。もともと想定されている通りに身体を自然に接触させれば、地球と直結した回路を作ることができるだろう。(裸足で歩くことで)地球と電気的に「アース」でき、健康に有害な電気的「ノイズ」を減らすことができると言う人もいる。これには一考の価値があるだろう。古の先祖は、ナイキのシューズをはいて歩 いてはいなかった。裸足で歩いていた。それで我々よりも健康だった!
子供たちも「自然欠乏症」に苦しんでいる!
現代の子供たちの多くは、室内で人生を送っている。コントローラーを手にゲームに夢中になり、あるいはインターネットの交流サイトに夢中になっている。屋外の自然の中で現実に触れる機会はほとんどない。現在の世代の子供には、夏に屋外キャンプに行くという発想は失われてしまったようである。その代わ りに、健康にとって非常に不利なことに、エアコンで制御された環境で夏を過ごしている。
子供にプレゼントできる最大の贈り物は、自然の中で過ごす時間である。自然の中で過ごすことの喜びを早期に子供たちに教え始めるほど、屋外体験を子供と共有することで得られるものは大きくなる。さらに、子供や孫を自然の中で過ごさせるということは、あなた自身も、より多くの時間を自然の中で過ごすこ とを意味する。
また、自然の中で過ごす時間を増やす秘訣の一つは、テレビを処分することだ。テレビは自然界の敵である。子供たち(大人も)がテレビの前で過ごす時間が多いほど、自然の中で過ごす時間は少なくなる傾向にある。子供たちは、テレビの前で時間を過ごすことに慣れると、もはや自然の中へ冒険しようとは思わ なくなる。子供たちの脳に向けてテレビが放映するバーチャル世界が、子供たちにとって「全ての世界」になる。
十代の少年が自然の中で過ごす時間は、主にコンピュータゲームに費やす時間に置き換わってしまった。多少の時間をゲームで遊ぶことは間違っていないだろうが、それが子供の生活の大半を占めるようになると、非常に破滅的である。子供たちに必要なのは、仮想世界での時間を減らし、現実世界で過ごす時間を 増やすことだ。
まじめに思っているのだが、私は、ゲーム中毒の少年たちにリハビリ・サービスを提供する「自然キャンプ」事業を誰かやってくれないだろうかと、何度 も思ったことがある。現在、これだけゲーム中毒症が拡大している状況を見ると、ビジネスとしても大成功するのではないかと思う。
いずれにしても、あなたに子供がいるかどうかは別にして、自然の中でより多くの時間を過ごせば、健康は大幅に改善する。だから、なるべく外に出て、日光を吸収し、新鮮な空気で呼吸し、自然を満喫しよう!そうすれば、より健康的で幸福になり、さらには知性も向上するだろう。
(翻訳:為清勝彦
Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
原文の紹介・関連情報
Part Nine -
Correct your nature deficiency