イーサン・A・ハフ(常勤ライター)
By Ethan A. Huff
間もなく米国食品医薬品局(FDA)は遺伝子組み換え(GM)サーモンを食品として認可するかどうか決定する予定であり、我々消費者は新たな「フランケン(バケモノ)」食品に立ち向かうことになる。もし認可されれば、GMサーモン(AquAdvantage,アクアドバンテージ)は、人間の食用とし ては初めて公式認可された遺伝子組み換え動物になる。
このバケモノ魚を進めている企業(Aqua Bounty Technologies Inc.,アクア・バウンティ・テクノロジーズ、豊かな水産技術の意か)は、FDAの認可を1995年から求めていた。同社の科学者は、連続的に成長ホルモンを生成するようにサーモン遺伝子をプログラムすることで、250日未満で成魚に育つように改変できている。自然界の大西洋のサケが成長するには400日かかる。 これにより、漁業の効率性が改善し、環境への負荷を軽減できると同社は主張する。
また、同社は、魚は繁殖不能(不妊)であり、環境や健康面への悪影響は無く、本物のような味がすると主張しているが、誰しも納得しているわけではない。実際に、過去の調査では、正反対の結果が出ている。
バケモノ魚は、産卵してから死ぬ可能性が高い
1999年、パーデュ大学の研究者は、遺伝子組み換え魚は、異常に大きなサイズのため、他の魚より〔性的に〕魅力的であることを発見した。したがって、自然界の魚よりも生殖相手を惹き付けることが多く、自然界に放たれたならば深刻な問題を起こす可能性がある。
同調査では、遺伝子組み換えの魚の子は、寿命が短いこともわかっている。よって、わずかな遺伝子組み換え魚が存在するだけでも、時間の経過とともに、自然界の魚はいつか消滅してしまうことになる。この大学調査によれば、60,000匹の自然界の魚に、60匹の妊娠可能なGM魚を入れると、わずか20年で自然界の魚は絶滅することがありうる。
不妊性の魚なので、そんなことはありえないと主張されているが、多くの専門家はGM魚のDNAが時間とともに突然変異し、繁殖可能になると指摘している。そして、他の種にもDNAを拡散し、あちこちで魚の遺伝子構成を変えていく可能性がある。
「いったん他の遺伝子で攻撃されれば、動物のDNAは不安定になり、魚が不妊のままでいるという保証はない」と、イギリスの SoilAssociationのLord Melchett政策担当部長がテレグラフの記事で述べている。「野生のサケにとって極めて大きな脅威となる」
また、GM魚が隔離された成育場の中に留まっている保証もない。アクア・バウンティ社は、GMサーモンは、絶対に自然界には逃げることはなく、脅威 はないと主張している。しかし、認可されれば、GMサーモンはいろいろな海洋養魚場で育つことになり、脱出する可能性も高くなる。
すでにこうした養魚場から自然界に毎年何百万匹も逃げ出しており、GM魚が同じ行動を取る可能性は決して低くない。GM魚が自然界に流出し始めれば、どれぐらい海の生態系に影響が出るか伺い知れない。それを元に戻す方法もない。
「(GM魚が)脱出して自然界の魚と混じれば、遺伝形質が伝播し、GM魚の数は増え続けるだろう。それを元に戻すことはできない」と、Center for Food SafetyのJoseph Mendelson法務部長は述べている。
すべてのGM食品と同様、GMサーモンは健康に脅威
最近のロイターの記事によると、FDAはアクア・バウンティのGM魚の安全性データを何も提示できていないため、健康への影響については誰にも確たる根拠がない状態である。
だが、問題意識をもっている団体は、他のGM食品と同様、アクアドバンテージ魚は、アレルギー、消化器疾患などの重病を引き起こす可能性があると言う。
現在出回っているトウモロコシや大豆のような遺伝子組み換え食品については、健康問題を引き起こすことがすでに知られている。研究結果によると、現実に内臓・免疫系に有害で損傷を与えることが示されている。動物実験では、GM食品によって死亡したケースもある。
イギリスの分子生物学者Michael Antoniou博士によると、遺伝子組み換え生命体(GMO)により、「遺伝子組み換えバクテリア、イースト、植物、動物に、予想外の毒性物質が生成される。大規模な健康問題が発生するまで分からない問題がある」。
例えばGMコーンは、粒の中に害虫を撃退する殺虫剤を自己生成する。人間がトウモロコシを食べるときに、この殺虫剤成分が一緒に摂取されるが、これが把握できない健康問題となって徐々に表面化しつつある。
現在までのところ、GM食品が人間の消費にとって安全であることを証明する研究は一つもない。そして、実施済の研究では、遺伝子レベルで自然に手を加えると、人間と環境にとって問題が発生することが示されている。問題であって便益ではない。
GMヤギ、GM豚も近い将来に登場
残念ながら、遺伝子工学に熱狂するバイオテクノロジーは、農作物とサーモンだけに止まらない。昨年、FDAは、アトリン(Atryn)という血栓(血液凝固)を抑制する薬を生産する用途で、GMヤギを承認した。そして現在、カナダの研究者が、GM豚のFDA認可を目指しているという。「エンバイロ 豚(Enviropig)」という名前で、エンバイロメント(環境)に優しい糞尿を出すとされている。
また、アクア・バウンティがサーモンの認可を得れば、すでにGMマス(トラウト)とGMテラピアも認可待ちである。
一般市民が立ち上がって、強制的に地球全体の遺伝子組み換えを止めない限り、こうした狂気は続く一方である。このまま放置されれば、遺伝子組み換えは最終的に地球上の全生命を破壊してしまいかねない。
FDAは、2010年9月19日の週末に、この問題を調査・審議する予定である。FDAは、3日間、この問題についてデータを調査し、部外者からの意見を聴取する。
一般人も、会議に参加登録可能であり、直接自分の考えを分かち合うことができる。以下のリンクで登録できる。
https://www.fedmeetings.net/common/registra...アクア・バウンティのアクアドバンテージ・サーモンにインターネットで反対意見を出す場合は、こちらのリンクで。
http://www.regulations.govリンク先に行き、文書番号(Docket No.)FDA-2010-N-0385に対してコメント送信できる。
また、以下のアドレスにメールで伝えることもできる。
Division of Dockets Management
Food and Drug Administration
5630 Fishers Lane, Room 1061
Rockville, MD 20852
引用情報:
http://www.reuters.com/article/idUS...http://archive.greenpeace.org/genen...http://www.fda.gov/Food/NewsEvents/...http://www.telegraph.co.uk/foodandd...(翻訳:為清勝彦
Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
原文の紹介・関連情報
原文 Tell the FDA 'NO!' to GMO fishNaturalNews.com