携帯電話の危険性を揉み消し続ける携帯電話業界

投稿日: 3/25/2011


トニー・アイザクス(市民ジャーナリスト)

By Tony Isaacs

携帯電話の発癌性リスクに関する研究(WHO主催)結果を公表する過程で奇妙なことが起きた。もともと、この研究には4年の遅延が生じていたが、それに加え、研究参加者には、報道管制(かん口令)が布かれていた。そして仕舞いには、公表のほんの数日前までずっと伝えられてきた携帯電話の危険性を示す証拠を発表するのではなく、携帯電話が危険という証拠は無いと発表したのである。これは研究内容と矛盾するだけでなく、一部の研究参加者の意見とも矛盾し ている。

実際のところ、インターホン・スタディ(InterphoneStudy)は、長期使用によってグリオーム(神経膠腫)の発生率が40%増えることを発見していたが、データの偏りと誤差の可能性があるとしてこの危険性を否定した。インターホン・スタディの8件の研究の内6件で、グリオーム(最も一般的な脳腫瘍)のリスクが増加することが判明しており、その一つの研究 では39%の増加が判明している。

イスラエルの調査では、ヘビー・ユーザーは耳下腺・唾液腺の腫瘍を患う可能性が約50%高いことを明らかにしている。聴神経腫(耳と脳の間の神経の腫瘍)を調べた2件の研究では、携帯電話を10年間使用することでリスク上昇があったことを報告している。スウェーデンの研究では、リスクは3.9倍高い と報告している。

バルセロナの環境疫学研究所(Centre for Research in EnvironmentalEpidemiology)のエリザベス・カーディス(ElisabethCardis)博士は、今回の研究のリーダーであるが、「全体的に私の意見としては、現実に影響があることを研究は示していると思う」と研究結果の発表と 矛盾したことを語っている。

もう一人のインターホン・スタディの研究者、シドニー大学のブルース・アームストロング(Bruce Armstrong)は、「危険性がある可能性が示されている。インターホンはそれを少し濃厚にする結果になった」と言っている。

インターホン・スタディは、2000年の設立当初から論争に包まれてきた。批判の根拠としては、携帯電話メーカーが提供する約550万ユーロの多額の研究資金が研究成果の独立性に影響するのではないかという懸念があった。研究対象の範囲についても疑念があった。最も脳腫瘍の危険にさらされた弱い存在である子供や青年を調査の対象外にしたのである。また、多くの情報筋や解説者は、研究者の中にあった意見の対立によって四年の遅延が生じたのではないかと 疑っている。明るみになったことから判断すれば、そうした疑念は正しいように思える。

今回、研究に関する情報統制がしかれるまでは、携帯電話の危険性が立証されたという趣旨での研究結果の発表がなされ、危険性を軽減する方策が勧告されるとばかり思われていた。昨年、デーリー・テレグラフは、ついにWHOの主要研究が「携帯電話の長期使用は脳腫瘍を発生させる可能性がある」と年末に向 けて発表する予定だと報道していた。また、つい先月、ロンドン・タイムズも類似の報道をしている。

にもかかわらず、突然の方向転換が起きた。何かが動いていたに違いない。5月16日、研究資金を手配してきた「携帯電話メーカーフォーラム(Mobile ManufacturersForum)」は、最新の研究で「携帯電話の安全性が十分に再確認された。総合的な分析結果は、従来の研究結果と一致しており、また、研究内容の有意な部 分とも一致しており、携帯電話使用による健康リスクの増加はないことが報告された」と報道発表している。

携帯電話に関する警戒を強化する国がいくつか現れている中、英国保健省は「現在までの証拠を照合すると、携帯電話使用によって健康上の問題が発生することは証明されていない」との主張を継続し、大人はなるべく「通話を短めに」するように努め、子供たちは「重要でない」電話は「控える」ようにと言って いる。

今回のインターホン・スタディの結果を考えると、英国が近い将来にガイドラインの強化を行う可能性は低くなった。携帯電話メーカーは、550万ユーロを費やしただけのメリットを受け取ったと考えるしかない。

(参照情報)

Mobile phone researchers disagree about cancer findings (26 May 2010) WDDTY

Long-term use of mobile phones 'may be linked to cancer' (24 Oct 2009) Telegraph.co.uk

Interphone's data on cell phones and cancer: The spin begins (May 16th, 2010) Science News

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo

原文の紹介・関連情報



原文 Industry Funded Cell Phone Study Ignores Evidence, Whitewashes Results

NaturalNews.com

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