メキシコ湾に撒かれている分散剤コレキシット(Corexit)の有毒性

投稿日: 3/25/2011


マイク・アダムス(ヘルスレンジャー)

By Mike Adams, the Health Ranger

何週間も沈黙を続けた末に、ようやくEPA(米国環境保護庁)は、コレキシット(Corexit)の原料リストを公開する決定をした。コレキシットは、メキシコ湾の石油災害でBPが使用している化学分散剤である。本件については、注目すべきポイントが二つある。第一に、公開された成分は極めて有害で ある。第二に、どうしてEPAはこれほどまで長い間、石油業界の「企業秘密」を守るために、成分の発表を拒否してきたのかという疑問である。

OMBウォッチで政策研究をしているブライアン・ターンバウ(BrianTurnbaugh)の発言がニューヨークタイムズに報道されている。「もともとEPAには権限があった。その証拠に今回成分の公開を決定できている。そ れにもかかわらず、企業利益よりも国民の利益を優先するように求める抗議・苦情がなされてようやく行動した。」

有害性という意味では、メキシコ湾に投入する毒物の組み合わせとしては、コレキシットに含まれるものほど危険なものは、なかなか見つからないだろう。EPAは、コレキシット9527を「慢性および急性の健康有害物質」と指定している。2‐ブトキシエタノールで作られているが、これは以前からエクソ ンのバルデス号漏洩事故の清掃作業に従事した人の健康被害に関連あるとされている毒性の強い化学物質である。

新型のコレキシットは「9500フォーミュラ」という名前だが、これには下剤にも使われている洗剤用の化学物質ジオクチル・スルホ・コハク酸ナトリウムを含んでいる。この化学物質を、魚や海亀がエラや皮膚から吸収すると、海洋生態系はどうなるだろうか? それと同じぐらい重要だが、この化学物質を吸 引し、皮膚に接触させながら作業している人々はどうなるだろうか?

その答は今のところ不明だ。だからこそ、メキシコ湾に大量に撒き散らしながら、成分の発表をずっと拒否してきたナルコ(Nalco)や石油会社は許し難い。現在まで百万ガロン以上が海洋にまかれている。

だが、ちょっと考えてみてほしい。この「秘密化学物質」が米国の大企業のビジネスでどれぐらい蔓延しているか? そして、米国政府が少なからず業界と共謀して化学物質を秘密にしていることを。

化学物質の秘密商法を終わらせる時だ



FDA、EPA、FTC(米連邦取引委員会)、特許商標庁の中の共犯者と手を組み、有力企業は秘密にしてきた。コレキシットの有害物質だけではない。例えばユニリーバ、プロクター&ギャンブル、ジョンソン&ジョンソンといった消費者用品の大手メーカーは、ごく普通に有害化学物質を使用して製品を作っている。そして、その化学物質は我々国民には秘密にされることが通常である。

同様に、市場に出まわっている事実上すべての香水、コロン、芳香剤は、発ガン性物質で製造されており、その調合が「企業秘密」という理由でメーカーは成分の公開を拒否している。

住まいの洗剤、化粧品、園芸用品など、全般的にアメリカの大企業では日常製品に含まれる有毒化学薬品は危険な秘密のままである。そして実際のところ、米国政府は業界と癒着しており、たとえばパーソナルケア用品の成分の全面公開の義務化を拒否することで、化学物質の成分を秘密にしている。この分野で FDAは、実質的に何ら強制力を発揮しておらず、安全試験の実施を要求するというよりも、ほとんど企業自らが化学物質は安全だと言うに任せている。

そういうわけで、恐ろしいことだが、真実を直視すると、「BPがメキシコ湾に対して行っていることは、例えばプロクター&ギャンブルが我々人間に行っていることと同じである」ということになる。我々は、パーソナルケア用品、芳香剤、その他調合物に含まれる有毒化学物質で大量に毒を盛られている。大 企業は、有毒化学物質を盛り付けた商品を揃え、その成分を一般に公開することを拒んでいる。

食品、医薬品、パーソナルケア用品の秘密化学製品の広範囲な使用の成果で、我々は合成有毒物質で溢れており、それは公衆衛生の海岸に既に到達しているのである。我々が目の当たりにしているガン、アルツハイマー病、糖尿病、不妊症などの増加は、人々への化学物質汚染の進行が悲惨な健康の犠牲をもたらしている結果である。公共の水道にフッ素を添加する政策も、出所の不明な化学物質を水道に投入しているのであるから(しかも故意に!)、一種の「水質汚染災 害」である。

更に、食品、医薬品、住宅洗剤、パーソナルケア製品などの化学物質の多くは、最終的に下流に流されメキシコ湾に行き着くことを思うと、二重に問題である。つまりメキシコ湾は、原油と分散剤で汚染されているだけではないのだ。「企業秘密」と言って化学成分の発表を拒んでいる大企業の製品から流出する化 学物質でもひどく汚染されているのである。

化学物質の秘密を終わらせる時だ



今回のメキシコ湾石油災害が明確に教えてくれているが、大企業が維持してきた化学物質の秘密をそろそろ終わらせる時である。すべての製品の全成分の公開を要求し、金輪際、化学物質を覆う秘密の幕は除去すべきである。

石油会社も日用品メーカーも、自らが売る製品に含まれる化学物質を「企業秘密」を理由に隠すことが可能であってはならない。我々は消費者として、化学物質の透明性を企業に要求し、公開しなければ購入を拒否しなければならない。

法律的には、誰でも商品の成分が理解できるように全ての消費者製品について完全な情報公開を義務化する新法を要求すべきである。

つながった世界の中では、ある人が使用する化学物質がその他の人々に影響を与えるのであるから、化学物質を秘密にする正当な理由はない。我々は、自らの身体に付けたり入れたりするものを知る権利があり、もし企業が正直に情報を提供することを拒むならば、製品をボイコットし、欺瞞的・秘密主義的な行動 を公然と非難すべきである。

本当のところ、消費者製品のメーカーは、製品の成分を知ってほしくないのである。それは、大半が毒を使って製造してあるからである。もし普通の香水 のラベルに化学成分が記載されているならば、消費者もその多くが癌や肝臓疾患に関係していることに気付き、商品の売上は急減することだろう。

大企業は、我々にバカなままでいてほしいのだ。我々の皮膚に塗ったり、飲み込んだりするものが、どれほど有毒かという事実を知らないままでいてほしいのだ。だが、現代世界の化学物質の秘密の暗黒時代は、もう終わらないといけない。透明性を要求し、水をきれいにして、我々自身と地球に毒を盛るのをやめ るときである。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo

原文の紹介・関連情報



原文 Toxic Corexit dispersant chemicals remained secret as feds colluded with Big Business

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