食品安全近代化法、「ブルー・スリップ」で暗礁に乗り上げる可能性

投稿日: 3/25/2011

マイク・アダムス(ヘルスレンジャー)

By Mike Adams, the Health Ranger

現在、明らかになりつつあるが、火曜日に食品安全近代化法を可決したときに、上院議員は大きなヘマをしでかしたようだ。法案の中には実質的に「新たな税制」が織り込まれていたが、米国憲法では、新たな税金を義務付ける法律は、下院しか提案できないことになっている。

このため、現在、下院は、この法律をいわゆる「ブルー・スリップ」にせざるをえない状態になっている。つまり、法案を拒否し、票決のやり直しを求めて上院に差し戻すということである。当然、それなりの時間と労力が必要になるが、レイムダック状態〔訳註:民主党は中間選挙で大敗したが、来年の新議会ま でならば現状勢力でいられる〕の民主党に残された時間はほとんどない。

ブルー・スリップとは、ウィキペディアによると(http://en.wikipedia.org/wiki/Blue_slip)、

ブルー・スリップとは、歳入や予算割当の法制を導入する主体は下院のみであるということを、下院として解釈・執行するため、規定に則り、下院の命令によってなされる手続きである。下院が立法を認めないということは、法律が成立しないことを意味する。下院は、これを非常に 有効な戦術として利用してきた歴史があり、ブルー・スリップ状態を回避するため、上院は新たな税金や歳入の手段は導入しないのが実際の運用である。

つまり、下院は、新たな税金を起案するのは下院だけにしておきたい。そのため、勝手に新税を法制化しようとしている上院議員の手をピシャリと叩いておく必要があり、510法案はブルー・スリップ状態にすることになりそうだ。

510法案は暗礁に乗り上げる可能性がある

要するに、戦いはまだ終わっていない。下院がこのブルー・スリップのルールについて、過去にない例外を認めない限り、今回の法案は上院に差し戻しになり、票決のやり直しを要求されることになりそうだ。

この話を最初に伝えたRollCall.comは、「この大失態に、上院の民主党議員は極めて狼狽することになるだろう。彼らは、火曜日に大々的にニュース発表を行って法案の可決を吹聴し、この比較的知られていない法案を大きな政治的成果にしようとしていた」と述べている。

Roll Callは、「ブルー・スリップになると、二通りの展開が予想される。一つは、上院の多数派院内総務のハリー・リード(HarryReid、民主党・ネバダ州)が、単純にこの案件を中断し、次期の議会でゼロからやり直しにする展開。(略)もう一つの可能性は、下院でこの法案の改定版 が通過した後に、上院で再び票決を強行する方法である。だが、それを実現し、さらに他に下院で抱えている問題も処理するには、全会一致の合意で討議〔時 間・内容〕を制限する必要があるだろう」と述べている。

だが、トム・コバーン(TomCoburn)上院議員(共和党・オクラホマ州)の英雄的な貢献により、全会一致の合意は不可能である。彼は、この法案は、規模が大きすぎること、費用が かかりすぎること、アメリカの農家に過剰な負担を強いるものであると考え、その信念に基づいて強硬な態度を貫いている。

もしこの分析が正しければ、510法案は暗礁に乗り上げ、次の新議会まで浮上することはないようである。今回の法案には、民主党の上院議員は誰一人として反対していないが、新議会では民主党ははるかに少ない人数になる。 (この法案の投票結果

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo

原文の紹介・関連情報

原文 S 510 Food Safety bill now dead in the water due to blue slip mistake

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