FDAが「メキシコ湾のシーフードは食べても安全」と発表

投稿日: 3/25/2011


イーサン・A・ハフ(常勤ライター)

By Ethan A. Huff

メキシコ湾のBP石油大量流出事故が初めて報道されてから半年もしない内に、米国のFDA(食品医薬品庁)は、NOAA(海洋大気庁)と共同で、メキシコ湾のシーフードは、実質的にすべて食べても安全になったと発表した。だが、独立系〔政府や大企業から資金が出ていないという意味〕の検証では、メキ シコ湾の水域は依然として深刻に汚染されており、石油と有害な石油分散財の双方によって多くの海の生物が死亡していることが示されている。

連邦政府の機関はたった一つの化学成分を検査したのみで、他は無視



最近になって、FDAとNOAAは、連邦の調査により、検査対象の大半のシーフードには有害化学物質の「検出可能な残留が無い」ことがわかったことを理由に、衝撃的な発表を行った。だが、漁業の専門家は、この検査では、Corexit分散剤のたった一つの成分(DOSS:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)しか検出しておらず、やはり非常に毒性の高いPAH(多環式芳香族炭化水素)、プロパノール、2-ブトキシエタノールなど、その他の有害化学物 質・化学合成物のことは無視している事実に触れ、この検査に用いられた手法の正当性に疑問を呈している。

ロイターは、最近、『ジオグラフィカル・リサーチ・レターズ』という雑誌に掲載されたレポートのことを報道し、PAHなど分散剤に含まれる化学物質によって被害が拡大していること、現在もなおこうした化学物質が魚に害を与え、魚を殺している様子を取り上げている。5月の時点で、研究者たちは、漏洩現 場から8マイル(13km)も離れた場所の海面下数千フィートで化学汚染を観測しており、それ以来、さらに拡散している可能性が高いと言っている。

「この観測がなされた時点(5月)以降、現場ではさらに大量の石油と分散剤が放出・散布された。そのため、深海の生態系への影響は、レポートにある観測で裏付けられたものよりも、かなり深刻な状態にあるだろう」と、研究者は述べている。

石油分散剤の危険性に関する最近のアル・ジャジーラの記事で紹介された化学者のボブ・ネイマン(BobNaman)によると、分散剤の化学成分は、他の化学物質と混ざり合って、まったく別物の化学物質を生成しがちであるという。新たに形成された化学物質は、大気中に抜け出し、雨になって降下し、人間、動物、環境に害を与えることが多い。また、水の中で結合して新たな毒性化合物を生成し、海の生物を汚染す ることもある。

こうした事実に加え、メキシコ湾岸に居住する人々は、いまだに化学物質への曝露によって病気になっているため、海域に住んでいる生物も深刻に汚染されていると想定して間違いないだろう。

だが、FDAもNOAAも、自らの調査内容と矛盾する外部の情報や独立系の検査のことはまったく気にかけていないようである。NOAAのDr.JohnStein(ジョン・スタイン)によると、「(連邦調査の一環として採取された)標本には、どれ一つとして、人間の健康に脅威となるようなものは存在しない」そうである。また、FDA長官のマーガレット・A・ハンバーグは、「市場に出回っているメキシコ湾のシーフードに、石油や分散剤の残留物の危険がない ことは疑問の余地がない」と発表している。ということで、国民には、政府機関の言葉に疑問を抱くことなく、そのまま信じてほしいようだ。

メキシコ湾のシーフードの安全性の検証に当初用いられた「嗅ぎ取り」検査



面白いことに、政府機関がメキシコ湾のシーフッドの安全性を評価する際に、最初に用いた検査手法は、臭いをかぐ検査だった。スタインは、ロイターに対し、最初の段階の「知覚検査」では、「化学物資の汚染があるかどうか、訓練された専門家がシーフードの臭いをかいで確認した」と説明している。つまり、 専門家であれば、エビとか牡蠣を一嗅ぎすれば、人間が食べても安全かどうか確実に判断できるということだ。

だが、人々がこの「検査」手法を信用しなかったため、政府機関は、実際にシーフードの汚染を検査する「予備」の計画を実施することになった。これにより、政府機関は、その意見を補強する結果を得ることができたが、この検査手法は端から欠陥があったことは先述の通りである。

メキシコ湾のシーフードを食べるかどうかは自己責任で



主流マスコミによる数多くの調査でも、最近の政府発表には懐疑的なままである。信頼できる専門家の間でも、メキシコ湾のシーフードの安全性については意見が分かれているため、現在のところは、懐疑派の立場を取り、食べるのを避けておくほうが無難だろう。

引用情報:

http://techcrunch.com/2010/10/29/is...

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsr...

http://www.reuters.com/article/idUS...

http://healthland.time.com/2010/11/...

http://nalco.com/news-and-events/42...

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo

原文の紹介・関連情報



原文 Gulf still loaded with chemicals, but FDA says seafood safe to eat

NaturalNews.com

FDAのハンバーグ長官と企業の癒着については、「口の中から水銀を追放しよう」に関連記述あり。

コメントがおありですか? シェアしてください...

comments powered by Disqus